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空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ | |
Fishmans ポニーキャニオン 2005-04-21 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
反主流派J-POPについての認識を深める中で、2006年になってようやくフィッシュマンズを発見しました。フィッシュマンズはバンドブームの中で出現し、渋谷系ムーブメントとも接触するけど、結局どこにも属さず、独特の音楽を創造し続けたバンドです。
音楽界からカリスマとして讃えられていたヴォーカルの佐藤伸治が急遽したから、日本におけるニルヴァーナのような存在になっているかも。
ニルヴァーナ並みにフィッシュマンズの音楽を神聖視しているファンたちのレビューを一通り読んだ後、ベスト盤を聴きました。ニルヴァーナ同様に、憧憬の念が納得できました。「オリジナリティ」ってこういうことだと思いました。
スカ、ジャマイカ音楽、ホワイトレゲエのような音像なんだけど、やっぱ日本のポップスで、まぎれもなくフィッシュマンズだけの不思議な音世界が展開されています。ふんわか空気の中を飛んでいるようなイメージ。せわしなさとか不安とか強迫神経症とかとは無縁の、ゆったりまったりふわふわワールド。
歌詞は都会から田舎までどこにでもありそうな日本の若者の日常。けれどどこかとんがっています。1曲目の「RUNNING MAN」から一挙に異質な世界にひきこまれます。
ランニングマンだけど、必死こいて走っている感じはなく、ゆったり浜辺を走っている感じ。美容健康のためのジョギングではなく、目的意識もなく、ただ楽しいからふらふらあてもなく走っている感じ。足取りは軽快というより不思議。
「晴れた日は 君を遊ぶのさ」という歌詞に注目。「君と遊ぶのさ」ではなく、「君を遊ぶのさ」なんです。「君を遊ぶのさ」なんて言い回し初めて聴きました。こんな不可思議な世界が延々と続いていきます。
ボーカルは裏声を多用しています。裏声の多用がシルクロードっぽい異国情緒を漂わせており、ふわふわほえ〜って感じ。けれどやっぱりどこかとんがっている。ふわふわの裏に秘められたゆるぎない個性が熱いです。