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映画『パンク・アティテュード』

この記事の最終更新日:2006年7月30日

パンク:アティテュード
パンク:アティテュードドン・レッツ

キングレコード 2005-12-07

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ニューヨークにおけるパンクの誕生から、ロンドン・パンク、ハードコア、グランジ、ラウドロックまで、パンク・ミュージックの歴史をたどるドキュメント映画です。現代音楽史に名を残す歴代パンクバンド勢揃いな感じです。

タイトルが示す通り、パンクとは音楽ジャンルでなく、現実世界に対するアティチュードなのです。作品の技巧よりアーティストの生き方、姿勢、価値観が重要視されます。音楽作品は作家のパンクライフから必然的に派生する余剰物にすぎません。

体制を批判する、個人の絶対的自由を尊ぶ、誰にも束縛されない、自分の力で生き抜く、商業、大企業、カネに媚びない、ザッツ・パンク。

70年代末にパンクブームが終了した後、80年代はザ・スミスくらいしかロックバンドが生れなかったなんて言われますが、この映画ではアンダーグラウンドで活躍していたハードコア・パンクバンドがいくつか紹介されます。私も名前知らないバンドたち。メジャー・シーンがニューウェイブや産業ロックで踊っていた頃、世界から消えたかに見えたパンク・スピリットはアングラで長く生き延び、90年代、ニルヴァーナの登場とともにメジャー・シーンに復活する歴史が語られます。シアトルのグランジ勢は突然変異として現われたわけでなく、80年代マイナーレーベルで闘い続けていた連中の後継者なのだとわかり、ちょっと感動ものです。

数々の有名アーティストがパンクの歴史にコメントしていますが、やっぱりソニック・ユースのサーストン・ムーアの話し方が一番かっこいいです。知的で芸術家的で学者みたいなクールパンク。

最後、インターネットはパンクだと語られます。ネットとパソコンがあれば、自分で音楽を作って、発信できる時代です。「ネットはレコード会社から支配の座を奪ったわ」「自分でレコードを作りネットで公開できる。何もかも個人でできるんだ」「企業なんてくそくらえ。何もかもブランド化して支配しようとするな。企業社会はうんざりだ」そうだそうだ。

何も音楽だけじゃなく、動画も写真もイラストも文章も、何もかも大企業の言いなりにならずとも、個人の力で発信できる時代です。インターネットは実にパンク。可能性の楽園。


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(c) Sidehill