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ソニック・ユース『デイドリーム・ネイション』

この記事の最終更新日:2006年10月9日

Daydream Nation
Daydream NationSonic Youth

Enigma 1993-11-23


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ソニック・ユースは90年代オルタナテウィブ・ロックの原動力となったバンドです。ソニックユースは80年代、ニューヨークのアンダーグラウンド、パンクシーンでインディーズ活動を続けます。地道でかつ実験的な、モダンアートのごとき音楽活動が次第に人気を呼び、彼らはエアロスミスやガンズアンドローゼスも所属するメジャーレーベル、ゲフィン・レコードと契約します。

シアトルから現れ90年代グランジシーンの中心バンド、ニルヴァーナがゲフィンとの契約を決めたのは、リスペクトしているソニックユースがゲフィンに所属していたからだと言われます。ニルヴァーナのフロント、カート・コヴァーンはレコード会社の先輩、ガンズにやたらめったら当たり散らしますが、ソニック・ユースのメンバーは大切な音楽仲間であり、創造の同士とみなしていました。

ソニック・ユースの音像は極めて実験的でアバンギャルド。わかりやすいメロディーは希薄で地味。何故彼らのような前衛的パンクバンドが大手のゲフィンと契約できたのか、謎ですが、90年代初頭のゲフィンは、ソニック・ユースという実験精神を抱え込めるほど懐の深いメジャーレーベルでした。

好きなのは、フロントのサーストン・ムーア様の知的な発言。ソニック・ユースは音楽をノイズとして理解しています。エレキギターが生み出すノイズをミュージックとして提示し、ノイズの可能性を追求したソニック・ユースは音響系バンドの走りです。

そのソニック・ユースがゲフィン移籍前、インディーズ時代の最後に残したアルバムがこちら「デイドリーム・ネーション」です。ソニック・ユースの全作品の中でも、最高クラスの名作として評価されています。

地味だけれど、地味なゆえに、聴きこみができるアルバムです。何度聴いても飽きないし、聴けば聴くほどよさがわかってきます。80年代ロックがある種のとっつきやすさ、わかりやすさを前提にしていたとすれば、90年代ロックのキーワードは「ききこみ」性です。R.E.M.にしてもソニック・ユースにしても(両バンドとも80年代はインディーズシーンで活躍していましたが)、90年代的なバンドはききこめる良質の、地味なアルバムを多数残しています。



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(c) Sidehill