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U2『オール・ザット・ユー・キャント・リーブ・ビハインド』

この記事の最終更新日:2006年10月9日

All That You Can't Leave Behind
All That You Can't Leave BehindU2

Interscope 2000-10-31

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同じアルバムで2年連続グラミー賞を受賞した前代未聞の快作。ロック界で現在進行形のトップスターは誰かと言えば、文句なくU2でしょう。その割に、ネット上で「ロックの歴史」系サイトを見ると、U2まるで扱ってなかったり、ちょっとしか触れてなかったり、今だに賛否両論ある大物アーティスト。

ロックスターなのに、やたら真面目なイメージ。およそスキャンダルとは無縁。アルバム製作中メンバーみんなで朝起きて聖書読んだり、政治に積極的にかかわる良識派。そんなところが一部ロックファンから批判されているのでしょう。当作2年連続グラミー賞受賞の要因も、政治的活動によるところが大きいでしょう。同時多発テロにおいて最も的確な反応を示したのがU2。

多くのアーティストは商業的成功を果たした後、音楽以外の雑多な要素に振り回され、過度の期待に押し潰されたり、創作意欲をなくしたり、過去の自己自身の模倣を繰り返したり、自殺したりします。U2はスターダムにたった後、どう創造的作業を続けていくかの最高の模範となりました。世界のスターにされてしまった後、重圧に押し潰されるのでなく、自分自身が持っている政治的地位を最大限利用して、世界の歴史が好転するよう積極的に関わっていくこと。巨大化するショウ・ビジネスに押し潰されず、地位を利用すること。私欲のためでなく、理想のために。

90年代のベストアルバムより良曲揃いの復活作。このアルバムをきっかけにメインストリームから外れていたロックが息を吹き返したと言ってもいいほど。



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